大腸ポリープは小さいうちは無症状であることが多いですが、大きくなるにつれ、以下のような症状が現れることがあります。
大腸ポリープとは
大腸の粘膜にできる腫瘍の総称が「大腸ポリープ」です。ポリープは大腸だけでなく、食道や肛門など、全身のあらゆる部位にできますが、大腸にできるポリープを大腸ポリープと呼びます。
大きさは1mm～数cmと多様で、良性のものもあれば悪性のものもありますが、治療せずに放置すると大腸がんに進行する可能性もあるため、発見された場合は切除することが重要です。
大腸ポリープの症状
大腸ポリープの早期発見が大腸がん予防の鍵になります
大腸ポリープの大きさは大腸がんになる可能性を推し量る要素ですが、その他にも、高い確率で大腸がんになるポリープがあります。中でも大腸がんになる可能性が高いポリープには2種類あり、それが腺腫と鋸歯状病変（SSL）です。
腺腫はポリープの中で最も多い腫瘍です。腫瘍細胞が勝手に増殖した結果、細胞が悪性化して大腸がんへと進行します。大腸がんの多くは腺腫から発生すると言われています。
ポリープ状の腺腫には自覚症状がなく、大腸カメラ検査で腺腫を除去することで、将来の大腸がん発生率と大腸がんによる死亡率を大幅に減らせることが報告されています。
つまり、大腸カメラ検査で腺腫を切除することは患者様にとって有益であると言えます。また、専門家の間では意見が分かれるところではありますが、鋸歯状病変（serrated lesions: SSL）も腺腫と同じように成長して大腸がんになる可能性があると考えられています。大腸がんになるリスクが腺腫と同じかどうかは不明ですが、切除することで大腸がんの予防に繋がります。
日本では、6mm以上のポリープは腺腫や鋸歯状病変（SSL）と同様にすべて取り除くのが原則となっています。しかし欧米では5mm以下のポリープも、大きさや種類に関係なくすべて取り除く「クリーンコロン」という考え方が浸透しています。
当院では基本的にこのクリーンコロンという考え方を採用しています。大腸ポリープが見つかった場合、将来の大腸がんを予防するという意味では、すべて取り除いて大腸をクリーンにしておくことが重要だと考えているためです。ただし、大腸ポリープがS状結腸や直腸にできる過形成性ポリープの場合には、無理に取り除く必要はありません。
また、大腸ポリープは再発の可能性もあるため、過去に大腸ポリープを除去したことがある方は、定期的に大腸カメラ検査を受け、常にご自身の大腸の状態を把握しておくことが大切です。
気をつけたい大腸ポリープのリスク要素
大腸ポリープの原因はいくつか報告されていますが、主なものは以下の通りです。
加齢
大腸ポリープの発症率は年齢とともに高くなると言われています。一般的には50歳を過ぎると、大腸ポリープや大腸がんの発症リスクがぐんと高くなりますので要注意です。
大腸がんの家族歴
大腸ポリープや大腸がんの既往歴がある血縁者がいらっしゃる場合、これらの病気の発症リスクが高くなります。特に、ご両親やきょうだい、お子様などに大腸がんの既往歴がある場合は、発症リスクが2倍以上になるという報告もあります。
遺伝的疾患
大腸ポリープや大腸がんの発症リスクは、家族性腺腫性ポリポーシス（FAP）やリンチ症候群（遺伝性非ポリポーシス大腸がん：HNPCC）などの遺伝的素因がある場合にも高くなります。
食生活
不規則な食習慣も、大腸ポリープや大腸がんの原因となります。特に、脂肪分や赤肉、加工肉を多く含む食事や、食物繊維が不足した食事を常習的に摂っていると、大腸ポリープや大腸がんの発症リスクが高くなります。一方、野菜や果物、全粒穀物を多く摂っていると、発症リスクを減らすことができます。
肥満
肥満は大腸ポリープや大腸がんの発症リスクを高めますので、太り気味の方やBMI値の高い方は注意が必要です。中でも腹部肥満の方は発症リスクがさらに高くなります。
喫煙
日常的な喫煙習慣のある方は、大腸ポリープや大腸がんの発症リスクが高くなります。特に長期にわたって喫煙習慣のある方は注意が必要です。
過度な飲酒
日常的に過度の飲酒習慣のある方は、大腸ポリープや大腸がんの発症リスクが高くなります。特に、毎日の酒量が多い方は注意が必要です。
大腸ポリープの治療
上記の通り、比較的小さな大腸ポリープやポリープの数が少ない場合には、日帰りで切除することも可能です。しかし、大腸ポリープが大きい場合やポリープの数が多い場合には入院治療が必要となり、その際には当院がご紹介する高次医療機関にて対応します。
他院から「治療が難しい」と診断された患者様のご紹介も多数いただいています。紹介状がなくても、当院で治療可能かどうか診断しますので、まずはお気軽にご相談ください。
